美装の奥深さ

建築の現場では必ず工事の最終工程として美装工事という工程があります。

お客様へのお引き渡しの直前に美装業者さんにお願いして出来あがった建物を一緒に綺麗にしてもらいます。

この時には建物はもうほぼ出来上がっていて、あと掃除するだけやん、と思うかもしれ

ませんが、私も現場監督の仕事をするまではそう思っていましたが(というか美装工事なんてものがあることも知らず、気にもかけていませんでしたが(すみません))、そうではありません。

 

建物の規模にもよりますが1ヶ月、3ヶ月、場合によっては半年、1年近く毎日通い作ってきた建物が完成して、中にはその間に少しシミが出てきてしまった場所、何かの拍子で少し傷や汚れがついてしまった場所があるでしょう。

それを一生懸命綺麗にします。

美装職人さんが持っている様々なアイテムを駆使してできる限り綺麗な状態でお引渡しを迎えられるよう最後の一踏ん張り尽力します。

ある時、職人さんと一緒に汚れを磨いていて、一生懸命磨いて、でも取れなくて、ああ、もうこの汚れは取れないのかなあ、と思っていた時、職人さんが

「美装っていうのはどこで諦めるかなんや、奥が深い仕事なんや」

と言われました。

その職人さんは毎回現場を最後の最後まで磨いてくれて綺麗にしてくれる80歳くらいのおじいちゃんで、そう言われた時にすごくはっとさせられました。

それまでは何とも思っていなかった美装の仕事でしたが、すごく哲学的でかっこいい!と思いました。

それ以来、どこで見かけても清掃業者さん、美装業者さんに対する尊敬の眼差しがやみません。

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